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2018年2月24日 (土)

振り返ればちょっとめんどくさいやつがいる

私の所属する学校では、実習期間中は毎日、その日の振り返りレポートなるものが義務づけられています。

一日を振り返って、その日の気づきや学びを記述しましょう。提出は翌朝です。遅れたり不備があったり内容が薄かったら減点対象です。

内容が薄いかどうかの判断は担当教員の主観に委ねられるので、日の観察から担当教員の趣向性をどこまで把握できるかが減点を逃れるカギですね。戦い実習のゴングが鳴る前からすでに戦い実習ははじまっているのです。

振り返りレポートの書式は、A4用紙に手書き。
このご時勢に、しかもワード、エクセルの授業を必修にしているような学校が、手書きて。と思ってたけど、手書きには毎日ちょっとずつ字のサイズを大きくしていけるっていう超絶メリットもあることに気付いて、最近はまんざらでもないです。このテクニックは手書きガチ勢に共感をいただけるのではないでしょうか。

そんな実習生活を送っている私、今日も、いつも通り晩ご飯後レポート用紙を前に一日を振り返ってました。
一日の振り返りレポートを早く仕上げるには、その日のうちに書くしかありません。土日挟んで週明けの提出だとしてもね。土曜日になると金曜日の出来事なんて遥か忘却の彼方ですから。

さて、記憶を朝まで巻き戻して、今日の振り返りをはじめましょう。

んー、今朝、今朝はいつものグループメンバーと行動実習施設への朝の挨拶そして特定の職員から受ける安定の挨拶無視。この職員、最初は、至近距離で挨拶して無視ってえぇ!って思ったけど、実習日数を重ねるごとに逆に無視されないほうが不安になるから慣れってこわい。今朝も無視されて安心しました。
そういえば同じグループに一人だけ、挨拶を無視されない実習生がいるんですよ。20代、まだまだ身体も毛穴も締まってる、長身のさわやかボーイ。あの職員は、もしかしたらさわやかな男の子からの挨拶しか聞こえない呪いにでもかかってるのかもしれない。そっと頬の毛穴をさする私。まあ、同じグループですから、実習中何かあるときは、彼を職員との交渉役として前面に推すとスムーズに事が運ぶって部分もあるから彼の存在はめっちゃありがたいんですけどね。
さらに、さわやかボーイの彼はいつもグループの荷物を持ってくれます。実習グループメンバーの荷物はひとつのバッグにまとめられてて、施設内を移動するときは誰かひとりがそれを持てばいいんだけど、そんなに重いものでもないのね。なのに彼以外のグループメンバーが今日は私が持つよって言っても、いいよいいよって言って荷物をさーっと取り上げていっちゃうんです。私も、今日こそ絶対この荷物を離さないわ!ってほど荷物に熱い執着もないし、ありがとねーって素直に渡すんだけどさ。

さわやかボーイは見た目だけじゃなく中身もさわやかか。それともグループ内でただ一人の男性ってことで気を遣っているのか。なんにせよお礼は欠かさないでおこうと思って、実習が始まってまだ初期のある日ありがとう、優しいねって声をかけたら、私はみました。さわやかな彼の口角が、満足気にニヤリと持ち上がる瞬間を。
お礼を言われて悪い気をする人は少ないと思うんですけど、この日みた彼の表情は、照れるとか嬉しいっていうより、満足ってほうがしっくりきたんです。満足感を得ることって悪いことじゃないしむしろ良いこと寄りだと思うんですけど、満足感って、自分の願望が叶えられたときとか、欲求が満たされたときに湧き上がる気持ちなんじゃないかなあと思うんですよ。だとすると、満足気に口角を上げた彼の行動原理は、思いやりでも気遣いでもなくて、自分の欲求を満たすためと考えることができますよね。荷物を持つって行動の背景には、自分がそういう人間って見られたいっていう欲求があるのでは?今回はたまたま優しいねが彼のハートをくすぐったとか?もしかして認められたい願望つよい人かも?

いやいや、一瞬見えた表情だけを取り上げて人となりを決め付けちゃうのは良くない。実習もまだはじまったばかりで付き合いも浅いし。
そう思った私は、その日をきっかけに、試しに彼へのお礼を過剰にしてみました。過剰って言っても、優しいねのようなその時感じた感想を一言添えるだけで、花火を打ち上げるわけでもないので地味なんですけど。お客さんをほめる時は何がいいのか具体性を持たせると良いって売れっ子ホステスのブログに書いてましたのでね。

数日後。彼の口角ニヤリ回数が増えるとともにグループメンバーとのコミュニケーションや積極性もどんどん増してきました。グループ内でプライベートな話をするようにもなり、心理的な距離も縮まったように感じます。
更に日数が経過し、最近では、会話中相手の話を遮ってそれってさーって切り口から求めてもいないアドバイスを発信する、ちょっとめんどくさいやつになってしまいました。
自分の行動が他人に評価されて満足感を得ることは良いことだと思うけど、あなたか喜んでくれて私も嬉しいのスタンスから更に踏み込んでこられると、ちょっとうっとうしいな。そう思いながら過ごしてたら、今日ついになんと俺の行動は計算というニュアンスの大胆発言までもが聞かれたんです。俺がすることで相手はしてくるだろうから、したほうが得だと思ったら俺はするし、俺、常に先を読むし、ウェイみたいな話してた。自分の計算通りに事が運ぶと満足する、って意味だと解釈しました。
言い換えれば、期待通りのリアクションのほしいってことかな。
荷物を持つことで、感謝プラス優しい人っていう評価が返ってくる。これらは自分の計算通りって前提が満足感につながる。
そういう満足感の得かたをしてる人なんだなーって今日の話聞いて思いました。
さわやかボーイの行動原理が覗き見えたのは、私が一言添えてお礼を言ってただけの影響じゃないと思うんです。他のグループメンバーのさわやかボーイに対する褒め言葉がわりと露骨で、褒めのインフレがおこってたもん。そりゃあ気分よく自分語りするってもんよ。
でも私はちょっとめんどくさくなったさわやかボーイを嫌いになったとかはなくて、むしろ、どうして欲しいのかわかった分付き合いやすくなったと思う。目の前の人がどんな人かがちょっとでも分かれば対人関係のトラブルを避けるヒントにもなると思います。
何より、こうして他人を勝手に分析解釈してる私が一番めんどくさいやつだという可能性は否定できません。

今日の実習振り返りは、さわやかボーイの俺の行動は計算発言にまつわるエピソードがメインになるけど、このままレポートとして提出したらたぶん担当教員に減点されるんだろうな。

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